【コラム】医療提供体制のひっ迫から問う健全な公共サービスのあり方

 

《活動》

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の勢いが止まりません。政府は8月17日に「緊急事態宣言」の対象地域に茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡の7府県の追加を決定し、31日が期限だった宣言の期間を、9月12日まで延長しました。

政府は、宣言の解除のためには、「国民の命と健康を守ることができる医療提供体制の確保」が必要としていますが、既に全国規模で医療提供体制はひっ迫し、首都圏や沖縄ではコロナ重症病床が枯渇する状況にまで陥っています。

コロナ禍において、病院や保健所をはじめとする公共サービスの現場で働くみなさんは、1年半に渡って、「自分が感染するかも」、「誰かに感染させてしまうかも」という不安と、極めて高い緊張感を保ちながら職務に従事しており、その精神的・肉体的な負担は、大変なものだと思います。

自治労が2020年の年末に実施した、「医療従事者の新型コロナウイルス感染症に関するアンケート」では、「新型コロナ感染拡大後、うつ的な症状はありましたか?」との問いに2割近くの方が「ある」と回答しました。昨年末の調査でこの回答状況ということは、「第5波」と呼ばれる今の局面にあっては、現場の方々の負担は更に強まっていることは間違いありません。

この状況を少しでも改善し、医療従事者の業務負担を軽減するためには、人員の拡充が欠かせません。しかし、求められる医療従事者は資格職などであり、第一線で働くまでには教育期間も必要であるため、即座に人員を増やすことがそう容易ではないことも明らかです。

公共サービスの安定性を確保するためには、自然災害や感染症の拡大など、有事の際の提供体制を想定した人員が必要です。ギリギリまで切り詰められた現状にあっては、現場の人たちの献身性や現場を守るんだという強い使命感に頼ることでしか、公共サービスが提供できない状況にあります。職員に精神的・肉体的な犠牲を強いることでしか体制を維持できないのであれば、これは「健全な公共サービス」の姿ではないと思います。

新型コロナウイルス感染症対応の中心を担っているのは、間違いなく公立・公的医療機関や保健所をはじめとする公共サービスの現場です。いきすぎた「公から民」への政策を転換し、「健全な公共サービス」を取り戻さなければなりません。その実現のためにも、日々頑張ってまいります。

今の状況にあって、なかなか医療関係の現場のみなさんのお話を直接お伺いすることは叶いませんが、その機会がありましたら、是非ともみなさんが現場で感じている想いを聞かせてください。よろしくお願いいたします。

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