【コラム】子どもの健やかな育ちのための保育職場のあり方について

 

《活動》

7月29日に福岡県内の私立認可保育園で、5歳の園児が送迎バスから降りることができずに置き去りとなり、熱中症で亡くなるという痛ましい事件が起きました。愛するお子さんを失ったご家族の心痛をお察しします。そして、亡くなられた園児のご冥福を心からお祈りします。

報道から明らかになっている保育園の説明では、人員不足に起因するずさんな運用・体制が判明しています。多くの保育園では、保育士の業務が過重となるなかにあっても、子どもの命を守る体制をしっかりと確立していることは言うまでもありません。

しかし、膨大な業務に見合わない職員配置基準や慢性的な保育士不足から、休憩すら取れず、自宅への持ち帰りを含むサービス残業が常態化しているというお話もお聞きします。また、コロナ禍にあっては、新たに頻繁な消毒作業やマスクの着脱、食事の際のきめ細かな対応が発生するなど、これまで以上に保育士の業務量が増えているそうです。

保育の質を維持するためにも、業務負担を軽減し、育児休業や短時間勤務制度を利用しやすくする等の整備により、保育士を確保することが必要です。また、質を維持するためには、他の先進諸国と比べても非常に少ない職員配置基準の早急な改善が必要です。

例えば、保育士1人が担当する4歳以上の児童数は、イギリスでは13人、ドイツ(ベルリン)では9人、ニュージーランドでは10人に対し、日本では30人となっており、目を行き届かせるのが諸外国と比べてむずかしい状況にあります。(※)これは各自治体で解決できる課題ではなく、法整備による解決、そのための国政の場での議論が必要です。

子ども子育ての課題は、配置基準の問題をはじめ、保育の現場の奮闘だけでは解決できない課題が多くあります。子どもたちの健やかな育ちのため、現場でがんばっているみなさんの声を国政に届けるためにも、がんばって活動していきます。保育の職場のみなさんに直接お話しを伺う機会も作っていきますので、ぜひ現場の声を聞かせてください。